2 主題設定の理由
2−1 学校教育目標から
本校の教育目標は,「責任と協力を重んじ,適切な判断と創造性に富み,
自主的で健康な児童の育成を図る」であり,自ら学ぶ意欲を持ち,社会に主体
的に対応し,豊かな心でたくま
しく生きる子どもの育成を意図したものである。
このことは,自ら考え活動できる子どもを育てることであり,まさに,今,求めら
れている「生きる力」を育むことにほかならない。
2−2 児童の実態から
本校の子どもは,明朗で素直であり,学年の分け隔てなく仲良く交わる姿が
多く見られる。協調性にも富み勤労意欲も高く,清掃活動などに進んで協力し
て活動する。また,与えられた課題には,比較的まじめに取り組むことができ
る。
しかし,自分の身近なものに課題意識を持ち,多くの視点から見たり考えた
りしながら,進んで課題解決に取り組み,最後まで粘り強くやり遂げようとする
姿勢はあまり見られない。また,各教科などの学習を通して身についた知識
や技能を学校生活の場などで生かし切れず,活動に取り組めない子どもも見
受けられる。
そこで,自ら学び自ら考え,問題を解決する力などの「生きる力」を育てると
ともに,学び方やものの見方・考え方を習得することをねらいとし,各教科など
で身に付けた知識や技能を相互に関連付け,総合的に働くようにすることを目
指した「総合的な学習の時間」と生活科を取り上げることにした。
そして,その学習活動を通して自ら考え活動できる子どもを育てることで,本
校の学校教育目標の具現化を図ることができると考え,本主題を設定した。
2−3 昨年度までの研究から
昨年度は,『自ら考え活動できる子どもの育成』という研究主題のもとに地
域の学習材を活用した単元を設定し,「課題設定」「課題解決」「まとめ」という
学習方法を繰り返し行う中で「自ら」「環境に対する働きかけ」の意識がでてく
るものと考え取り組んだ。
その結果,低学年は,生活科で家族や家庭,身の回りにある児童の身近な
環境に焦点を当てて興味・関心を持たせたことにより,意欲的に作る,調べ
る,発表するという活動をさせることができた。
また,中・高学年は総合的な学習の時間において,ワークシートを活用する
ことで児童に「自ら」という活動をさせることができた。そして,収穫祭を発表の
場としたことで,児童は分かりやすくまとめようとしていた。
しかし,「総合的な学習の時間」の活動だけで「自ら」という意識をはぐくめる
ものではなく,各教科の基礎・基本をもう一度確認しながら,全教育活動の中
で,課題設定,課題解決,まとめの各段階の活動を設定し,体験させていかな
ければならない。また,「教える」「気付かせる」「導く」「考えさせる」「はぐくむ」
などの過程において,どの場所で子どもにどのように支援していけば良いのか
も検討しなければならないこと,各学年の発達段階における身に付けさせた
い力を関連させ設定していかなければならないこと,活動計画表を累積して活
用できるように
しなければならないこと,評価の仕方や方法について検討しな
ければならないことなどが課題となった。
4 研究仮説
「総合的な学習の時間」と「生活科」の学習活動において,児童の思いを大切
にする支援を工夫すれば,自ら考え活動できる子どもをはぐくむことができるで
あろう。
・ 自分が興味を持ったことに対して課題を設定させる支援の工夫。
(思いを持つ)
・ 自分で課題を解決する計画を立て,活動させる支援の工夫。
(思いを生かす)
・ 活動を振り返り,自分の良さに気づかせる支援の工夫。
(自分の良さに気づく)
5 研究内容と方法
(1)総合的な学習の時間と生活科のねらいの確認
(2)学習活動における支援
(3) 評価の観点,方法の作成
(4)身につけさせたい力の関連性
(5)活動計画案の作成
(6)学習活動による実践研究
(7)環境整備(人材の一覧表,活動マップの作成)
(8)文献等による理論研究
(9)児童の実態調査
(10)家庭,地域の意識調査